女性の大動脈解離:まだ過小評価されている? ~発症率に男女差がないことが明らかに~

【ポイント】

  • 急性大動脈解離の発症率は男性で高いとされてきましたが、発症後病院到着前に死亡する症例が多いため、いかにこの症例を含めた正確な疫学的評価を行うかが大きな課題でした。
  • 熊本大学、宮崎県立延岡病院及び国立循環器病研究センターは、宮崎県延岡市において集団ベース研究を実施し、院外心停止となり死亡した症例へ死後CTを撮像する事で病院到着前に死亡した急性大動脈解離患者を特定しました。
  • 本研究により、急性大動脈解離の発症率は男女で差はなく、女性の方が発症後病院到着前に死亡する確率が高いため、病院にたどり着く症例が少ないことを世界で初めて明らかにしました。



【概要説明】

 熊本大学生命資源研究?支援センターの丸目恭平客員助教、熊本大学循環器内科の辻田賢一教授、宮崎県立延岡病院(宮崎県延岡市、病院長:寺尾公成)心臓脳血管センターの山本展誉主任部長、松山正和主任部長及び国立循環器病研究センター(大阪府吹田市、理事長:大津欣也)心臓血管内科の野口暉夫副院長らの研究チームは、急性大動脈解離の発症率に男女差はないが女性の病院前死亡率が男性よりも高い事を明らかにしました。本研究の成果は2023年10月2日に米国心臓病学会が発行する医学雑誌「JACC: Advances」オンライン版に掲載されました。



【展開】

 本研究は、女性のAADの方が男性のAADよりも病院到着前死亡率が高く、AADの発生率自体には男女差がない事を示した初めての研究です。これらの結果は、AADの病態の理解およびAADの予防?治療戦略の発展を目的とした今後の研究に役立つものです。また、本研究では、若年でも女性の院外心停止症例ではAADの割合が高かったことから、女性の院外心停止症例の治療戦略を立てる際にはAADを強く考慮する事が重要であると言えます。



【論文情報】

  • 論文名:Women With Acute Aortic Dissection Have Higher Prehospital Mortality Than Men
  • 著者:Kyohei Marume, Teruo Noguchi, Ryota Kaichi, Takao Yano, Masakazu Matsuyama, Yasuhiro Nagamine, Takayuki Mori, Takafumi Mikami, Sou Ikebe, Masafumi Takae, Soichi Komaki, Masanobu Ishii, Reiko Toida, Kazumasa Kurogi, Yosuke Inoue, Hitoshi Matsuda, Shunsuke Murata, Yuriko Nakaoku, Soshiro Ogata, Kunihiro Nishimura, Takahiro Nakashima, Tetsuro Yamaguchi, Nobuyasu Yamamoto, and Kenichi Tsujita
  • 掲載誌:JACC: Advances
  • DOI:10.1016/j.jacadv.2023.100623
  • URL:https://www.jacc.org/doi/abs/10.1016/j.jacadv.2023.100623



【詳細】プレスリリース(PDF332KB)

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熊本大学 大学院生命科学研究部
担当:教授 辻田 賢一
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