細胞増殖を調節するアンテナ「一次繊毛」の仕組みを解明~小頭症や小人症など臓器成長不全解明の足がかりに~
?小頭症や小人症などの臓器成長不全は、胎児の細胞が増殖する過程に異常があることが原因と言われている。
?外界の刺激を感じる「一次繊毛」と呼ばれるアンテナについては、まだ解明されていないことが多い。
?このたび、「一次繊毛」の収縮が、細胞増殖につながる仕組みが明らかとなった。
東北大学大学院医学系研究科分子薬理学分野の斎藤 将樹(さいとう まさき)助教、柳澤 輝行(やなぎさわ てるゆき)名誉教授、熊本大学大学院生命科学研究部分子生理学分野の富澤 一仁(とみざわ かずひと)教授、および米国コーネル大学医学部Ching-Hwa Sung教授(眼科学)らのグループは、「一次繊毛 注1 」の収縮が細胞の増殖において、きわめて重要であるという研究成果を発表しました。今後、小頭症や小人症などをはじめとする、胎児における臓器成長不全(繊毛病 注2 )の病因解明に繋がること、また将来的にそれらの治療に臨床応用されることが期待されます。本研究成果は、2017年6月12日に欧州分子生物学機構機関誌EMBO Reports誌(電子版)に掲載されました。
本研究は、文部科学省科学研究費補助金、科学技術振興機構大学発新産業創出プログラム (START)、武田科学振興財団、アメリカ国立衛生研究所(NIH)研究費、米国Starr foundation、および米国Research To Prevent Blindness研究助成の支援を受けて行われました。
注1 一次繊毛 : 細胞外に突出した不動性の繊毛。がん細胞や血球系を除く、ほとんど全ての正常細胞で形成される。体内異物の排泄等に関わる運動繊毛とは異なる。
注2 繊毛病 :小頭症、小人症、多発性嚢胞腎や網膜症などに代表される、種々の組織や臓器形成不全を引き起こす遺伝病の総称。一次繊毛の形成や機能の異常によって引き起こされる。
【論文名】
Tctex-1 controls ciliary resorption by regulating branched actin polymerization and endocytosis
「Tctex-1は分枝アクチン再構成とエンドサイトーシスを介して一次繊毛短縮を制御する」
【著者名(*責任著者)】
斎藤 将樹*、大津 航、Kuo-Shun Hsu、Jen-Zen Chuang、柳澤 輝行、Vincent Shieh、貝塚 拓、魏 范研、富澤 一仁、Ching-Hwa Sung*
【掲載雑誌】
EMBO Reports
【詳細】
プレスリリース本文
(PDF 1.02MB)
熊本大学大学院生命科学研究部
分子生理学分野
担当: 教授 富澤 一仁
電話: 096-373-5050
e-mail: tomikt※kumamoto-u.ac.jp
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