体細胞に多能性を獲得させているのは「リボソーム」であることが判明

熊本大学大学院生命科学研究部 神経分化学分野の太田訓正准教授、伊藤尚文特任助教と、産業技術総合研究所バイオメディカル研究部門加藤 薫 主任研究員、創薬基盤研究部門木田 泰之 研究グループ長らは、細胞質内に存在するリボソームに体細胞を多能性細胞に変える機能(初期化機能)があることを明らかにしました。

本グループはこれまでに、ヒト皮膚細胞が乳酸菌を取り込むと多能性を獲得することを論文発表(Ohta et a., PLOS ONE e51866, 2012)していました。今回の発見は、乳酸菌を取り込んだ時の初期化物質が、タンパク質合成装置として知られているリボソームであることを世界で初めて明らかにするものです。本研究の成果は、Natureグループのオープンアクセス誌「Scientific Reports」で平成30年1月26日英国時間10時(日本時間:1月26日(金)19時)に公開されました。

※本研究は、文部科学省科学研究費補助金(基盤研究(B)、挑戦的萌芽研究)、日本医療開発研究機構AMED-CREST、公益財団法人山田科学振興財団、コスモバイオ株式会社、公益財団法人発酵研究所の支援を受けました。

【論文名】
Ribosome Incorporation into Somatic Cells Promotes Lineage Transdifferentiation towards Multipotency

【著者名】
Naofumi Ito 1, 2 ,Kaoru Katoh 3 , Hiroko Kushige 4 , Yutaka Saito 5 , Terumasa Umemot o 6 , Yu Matsuza ki 6 , Hiroshi Kiyonari 7 , Daiki Kobayashi 8 , Minami Soga 9 , Takumi Era 9 , Norie Araki 8 , Yasuhide Furuta 7 , Toshio Suda 6 , 10 , Yasuyuki Kida 4 , and Kunimasa Ohta 1 , 2 , 11 , 12 *(*責任著者)

【所属】
1 熊本大学大学院生命科学研究部 神経分化学分野
2 熊本大学博士課程教育リーディングプログラム
「グローカルな健康生命科学パイオニア養成プログラムHIGO」
3 産業技術総合研究所バイオメディカル研究部門
4 産業技術総合研究所創薬基盤研究部門
5 産業技術総合研究所人工知能研究センター
6 熊本大学国際先端医学研究機構
7 理化学研究所多細胞システム研究センター
8 熊本大学大学院生命科学研究部 腫瘍医学分野
9 熊本大学発生医学研究所幹細胞誘導分野
10 シンガポール国立大学がん科学研究所
11 熊本大学国際先端研究拠点
12 日本医療開発研究機構AMED-CREST恒常性領域

【掲載雑誌】
Scientific Reports

【DOI】
DOI:10.1038/s41598-018-20057-1

【詳細】
プレスリリース本文 (PDF424KB)

お問い合わせ
大学院生命科学研究部
神経分化学分野
担当:太田訓正
電話:096-373-5293
E-mail:ohta9203※gpo.kumamoto-u.ac.jp
(※を@に置き換えてください)