酸化ストレスはメダカの雄化を引き起こす?性決定の新たなメカニズムを発見!?
【ポイント】
- 酸化ストレス*1は、コルチゾル*2量が上昇しなくてもメダカの雄化を引き起こすことを発見しました。
- 脂肪酸を内因性リガンドとする核内受容体PPARα*3のノックアウトメダカでは、酸化ストレスによる雄化は引き起こされませんでした。
- 今回の分子機構の発見は新たな性統御技術の開発につながることが期待されます。
【概要説明】
熊本大学大学院先端科学研究部の北野健教授らの研究グループは、旭川医科大学生化学講座の矢澤隆志講師との共同研究により、酸化ストレスがメダカの雄化を引き起こすことを発見しました。本研究の成果は、令和4年6月16日に「Frontiers in Endocrinology」に掲載されました。本研究は、文部科学省科学研究費補助金の支援を受けて実施したものです。
(用語解説)
*1 酸化ストレス:酸化反応と抗酸化反応のバランスが崩れ、酸化反応が生体に対して悪影響を及ぼしている状態。酸化ストレスはがん等の様々な疾患を引き起こすことも知られている。
*2 コルチゾル:ヒトや魚類において、高温ストレス等により分泌量が増加するステロイドホルモン。
*3 PPARα(peroxisome proliferator-activated receptor alpha):主に脂質代謝に関連する種々の遺伝子の発現を制御する核内受容体。最近では、脂質代謝異常を基盤に発症する生活習慣病に対する医薬品創製の分子ターゲットとして注目されている。
【論文情報】
論文名:Oxidative stress causes masculinization of genetically female medaka without elevating cortisol.
著者: Koki Mukai,Seiji Hara,Konosuke,Sakima,Ryo Nozu,Takashi Yazawa & Takeshi Kitano(責任著者)
掲載誌:Frontiers in Endocrinology 13, 878286 (2022).
URL:https://doi.org/10.3389/fendo.2022.878286
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【詳細】 プレスリリース(PDF248KB)
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お問い合わせ熊本大学大学院先端科学研究部
担当:教授 北野 健
電話/FAX:096-342-3031
E-mail:tkitano※kumamoto-u.ac.jp
(※を@に置き換えてください)