学長と学生との懇談会(理学部?理学研究科)

日時 平成13年9月20日(木)12:00~13:00 20011031.jpg
場所 理学部会議室
出席者 江口学長、良永副学長、嶋田学生部委員会委員
参加学生 学部学生 38名
陪席者 理学部教職員 6名、学生部 3名

司会
学長の江口先生をお迎えして、理学部で初めての懇談会ですけど、これから1時までの1時間、江口先生とざっくばらんな話し合いをしていただきたいと思います。

私は、今日の司会を担当させていただく理学部の地球科学科の嶋田と申します。この催しは、今年度から始まった企画で、6月に文学部と法学部が実施されましたが、夏休み明けで実施されるのは理学部が初めてで、この後、薬学部や工学部も実施される予定になっております。
皆さんご存じではないかもしれないですが、大学のホームページに他の学部の懇談会の様子が記載されています。割と活発なやりとりが行われ、江口先生も学生の方にも非常に評判がいいとお伺いしております。理系の学生とは今日が初めての懇談会になります。江口先生は、生物の研究をされていて、理学部とは縁が深いんじゃないかと思います。皆さんの忌憚のない質問、要望、意見を言っていただければと思います。
それでは、最初に江口先生の方から挨拶をお願いします。

学長
皆さん、こんにちは。今日は集まっていただいて有り難うございます。実は、ただ今、先生からこの催しの経緯のお話がありましたが、これは私の方から強くお願いしたことでございます。
私は平成8年11月に岡崎国立共同研究機構から赴任をしたんですけど、その時に諸君が何を日常考えているのかというのを強く知りたいと思いました。それで何とか学生と学長が、簡単に話し合いのできるチャンスを作って欲しいと学生部に強くお願いしたんです。
平成9年になって、当時の学生部委員で、法学部の篠倉先生が私の希望を聞いて、それは非常にいいことだからと話し合いの場を作って下さいました。各学部から1~2名、大学院生と学部生を合わせて12~3名で、くすの木会館で夜食事をしながら3時間ぐらい話をしました。それで、是非続けたいということを希望していたのですが、くすの木会館で夕食を食べながらというとお金がかかる。学生部でもそのような予算はない。夜、食事をしながらというとその都度、学生諸君にお金を出していただかなければならず負担になりますよね。それで他にいい方法を考えて欲しいと言っていたんです。
そして、再度、去年の夏に、各学部を私がお尋ねして、話し合いを行いたいということで、理学部が3番目になったということです。私としては、会議形式ではなくて、できたら車座みたいな雰囲気で、大学に対しての不満であってもいいし、要望であってもいいし、学生にとって、学習環境が劣悪ではないかとか、こういう点は是非直して欲しいとか、何でも聞かせていただきたいということで、この懇談会があるわけです。是非、率直にいろいろな話を聞かせてください。以上でございます。

司会どうも有り難うございました。実は今日は、各学科から3~6名、トータルで37~8名の学生さんに来ていただいています。これから食事を交えながら交流をしていっていただきたいと思います。皆さん手前に、サンドイッチ、それから飲み物がありますので、それを食べながら気さくに江口先生とお話をしていただければと思います。
やり方は特に決めていません。皆さんの方から、積極的に手を挙げて江口先生に聞きたいこと、あるいは要望、そういうものを言っていただければと思います。大学というところは、学長が学生さんの声を生で聞く機会というのはほとんどないと思いますので、こういう機会に是非、積極的に発言をしていただきたいと思います。
ルールとしては、手を挙げていただいて、指名された方は自分の所属学科と学年と名前を言って、それから、質問や意見を言っていただくということにしたいと思います。それでは、どなたでも結構です。

副学長
自己紹介をしていいですか。私、副学長の良永と言います。所属学部は法学部なんですけれども、今、江口学長を補佐して、特に教育、それから学生生活関係の仕事を担当しております。皆さん、率直にいろいろ学長にぶつけたり、聞いたりして下さい。私たちもそれを傍で聞いていて、少しでも皆さん達の大学生活が良くなるように努力したいと思っております。数少ない機会ですので、積極的に活用していただきたいと思います。よろしくお願いします。

司会
それじゃ、皆さんの方から意見のある方、手を挙げて欲しいと思うんですけど、どなたでもいいです。我先にという人、いませんか。

学部4年
最近、小学校、中学校、高校によって、理科離れが深刻な問題になっていますが、理学部というのは、非常に厳しくなっていると思います。理学部出身であります江口学長が、この問題について、どのように考えていらっしゃるのか質問したいと思います。

学長
皆さん、あっという間に1時間経っちゃうので、食べながら話をしましょう。私は、多分、たくさんしゃべらなければならないので、覚悟しております。
僕は、理科離れと言われるが、あまり心配はしていないんです。その根拠は、例えば中学校では、国際レベルのコンテストがあるでしょ。何で理科離れが取りざたされるかという根拠です。算数で言ったら計算問題、理科でも物理でも、日本の生徒はすごく成績がいいわけです。1位から3位までに毎年入っている。応用問題だとちょっとレベルが下がり、シンガポールとか韓国がいつもトップクラスです。
それで、成績はいいんだけれども、理科が好きか、数学が好きかというと、50%ぐらいは嫌いだと言う。試験を受けたテストでも、半分は理科や数学が嫌いだと言うんです。それは大変だなということです。僕は逆に、半分は好きなんだとびっくりするんです。半分の人は、理科が嫌いではないのですから大丈夫。数学の計算させたらいい線いくのに、何故嫌いなのかというと、興味がないんですよ。
僕、数学が良くできたんです。自分で言うのはおかしいけど、数学が大変よくできました。公式なんか覚えようとせず、自分で作っていました。それから関数は、グラフを一生懸命勉強しました。例えば一次関数だったら直線になり、二次関数だったら、こういうカーブになります。三次関数だったらこういうふうにと、だから微分積分だって、グラフから入ったら、ものすごく理解しやすいわけです。そういう教育は、中学校、高等学校も欠落している。理科、数学をよくする人の半分は嫌いなんだ。だけど、50%は嫌いではない。だから大丈夫だよというふうに思います。
大学に入って、今までの教育の悪いところを、きっちりと先生方が是正して、皆さんが理科に日に日に興味を持ってくれるようになれば、大丈夫だと思うので、大学に入って益々理科離れしたなら、それは先生方の責任ですね。理学部に行ってますます理科が嫌になった人、ちょっと手を挙げて下さい。遠慮しなくったっていいですよ。それが大事なんです。私は、理科が好きなつもりで入ってきたけれども、熊本大学の理学部に入ったら、面白くなくなったということであれば、それは大変なことですから、そういうことを先生方にぶつけないといけません。理学部に入ったら、理科がますます好きになると思って来たのに、だんだん嫌になってきた。どうしてくれますかということを、先生にぶつけなさい。

司会
そういうことがないことを願っています。次の方いますか。手を挙げて下さい。化学の方、何か質問はございますか。

学部2年
今、3階にある化学の実験室で実験をしているんですけれども、もう少し、環境を改善するとかいうことはないんですか。

学長
どういうところが悪いんですか。具体的に教えて下さい。

学部2年
例えばテーブルが木でできているんですけれども、木が剥がれてガタガタしているものがあります。

学長
それは、早く直さないといけませんね。よくわかりました。見に行くのが一番早いから、一度見に行きます。
それで、これはそう簡単にはできない言い訳をちょっと言わせていただくと、日本の国というのは国立大学でありながら、学生諸君の生活環境、勉学環境をよく保つための予算が極めて少ない。各学科の先生方の研究費の一部を、そっちに振り向けざるを得ないような状態です。それで、満足のいくようなものをいつも備えておくというと、先生方は、国からの研究費がもらえなくなるという事情があります。先生方がしていらっしゃる研究というのは、それぞれの先生方が好きでしていらっしゃいます。従来は、国費でそこそこ研究費は賄われてきましたけれども、これからは、先生方自らが、外部資金を確保するということをどんどんして欲しいと思います。
それで、今私が一番力を入れて整備しているのは、大学教育研究センターで、あそこに随分お金を投入しております。私自身が自由になるお金は、わずかしかありません。学長裁量経費といって、私が一存で使えるようなお金もあり、各学部の予算でできないところを補っていこうと思っています。今日は1時にこれが終わると、すぐ会議に入るので、見せていただく時間がありませんけど、まず私自身が、各実験室を見に参ります。それはお約束いたします。

司会
はい、有り難うございます。学長の江口先生もお金をお持ちですから、この機会に、いろいろ要望するとそれがかなうかもしれません。何か要望など。

学部4年
学長は、学食でご飯を食べたことはありますか。

学長
学食で食べたことはあります。しかし私は、独特な健康的理由から、お昼はほとんど食べないんです。スープ一杯に小さなおにぎり1個位しか食べない。だから、頻繁には行きませんけれども、例えば出張して、東京から家に帰れなくて、直接ここに出勤するような時には、時々行きます。

学部4年
僕はむちゃくちゃ昼ご飯を食べる方なんですけど、ちょっと高いんで、例えば牛丼の吉野屋とか、ああいうのを誘致するとか。

学長
それは、どっちですか。

学部4年
生協です。

学長
生協にもっと経営努力をして欲しいですね。部屋の改修とか、売り場を広げることなど大学も相当協力し、ひと頃の生協よりも随分良くなったんですよ。それで、今、売上げも2割以上、上がっているはずです。そういう成績が良くなったものをもっともっと経営努力をして安くするということは可能だと思うんです。
生活協同組合は、皆さんも会員じゃないですか。皆さん自身が組合の幹部に言うべきです。生協というのは、大学とは直接関係のないオーガニゼーションで、大学は場を提供している。家賃を取ってません。大学とインデペンデントのオーガニゼーションですから、本当は家賃を取ってしかるべきだと思うんです。それから、生協の学生食堂をよくするためには、皆さん自身が、やっぱり努力する必要がある。自分達のものだという感覚でやって下さい。

学部3年
日本の企業とか、大学のトップの人たちの能力をヘッドレス?チキンと言われているのを聞いたことがあります。これについて、学長はどう思いますか。

学長
それは、見方によってやむを得ないところはあると思