SARS-CoV-2オミクロンBA.2株のウイルス学的性状の解明

【ポイント】

  • 昨年末に南アフリカで出現した虎扑nba直播,虎扑体育「オミクロン株(B.1.1.529, BA系統)」は、当初オミクロンBA.1株が全世界に伝播したが、現在ではオミクロンBA.2株への急激な置き換わりが国内外で進んでいる。
  • オミクロンBA.2株は、オミクロンBA.1株と比較してヒト集団内における実効再生産数が1.4倍高いことを明らかにした。
  • オミクロンBA.2株は、オミクロンBA.1株同様、感染や2回のワクチン接種によって誘導される中和抗体に抵抗性を示すこと、オミクロンBA.2株とオミクロンBA.1株では抗原性が異なることを明らかにした。
  • オミクロンBA.2株のスパイクタンパク質の合胞体形成活性は、オミクロンBA.1株のスパイクタンパク質に比べて有意に高かった。
  • ハムスターを用いた感染実験の結果、オミクロンBA.2株のスパイクタンパク質の遺伝子を持つウイルスは、オミクロンBA.1株のスパイクタンパク質の遺伝子を持つウイルスよりも高い病原性を示すことを明らかにした。

    【概要説明】

 ヒトレトロウイルス学共同研究センター熊本大学キャンパスの池田輝政准教授が参加し、東京大学医科学研究所システムウイルス学分野の佐藤佳教授が主宰する研究コンソーシアム「The Genotype to Phenotype Japan (G2P-Japan)」は、虎扑nba直播,虎扑体育の「懸念される変異株(VOC:variant of concern)」のひとつである「オミクロンBA.2株」のウイルス学的特徴を、流行動態、免疫抵抗性、および実験動物への病原性等の観点から明らかにしました。まず、統計モデリング解析により、オミクロンBA.2株の実効再生産数は、オミクロンBA.1株に比べて1.4倍高いことを明らかにしました。また、オミクロンBA.2株の抗原性が、オミクロンBA.1株とは異なることを明らかにしました。さらに、オミクロンBA.2株のスパイクタンパク質の合胞体形成活性は、オミクロンBA.1株に比べて有意に高いことを明らかにしました。そして、オミクロンBA.2株のスパイクタンパク質を持つウイルスは、オミクロンBA.1株のスパイクタンパク質を持つウイルスに比べてハムスターにおける病原性が高いことを明らかにしました。

 本研究成果は2022年5月1日、米国科学雑誌「Cell」オンライン版で公開されました。

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【論文情報】

雑誌名:「Cell」5月1日オンライン版
論文タイトル:Virological characteristics of the SARS-CoV-2 Omicron BA.2 spike
著者:山岨大智#, 木村出海#, Hesham Nasser#, 森岡佑平#, 直亨則#, 伊東潤平#, 瓜生慧也#, 津田真寿美#, Jiri Zahradnik#, 白川康太郎, 鈴木理滋, 岸本麻衣, 小杉優介, 小檜山浩司, 原哲平, 豊田真子, 田中友理, バトラー田中英里佳, 清水凌, 伊藤駿, 王磊, 小田義崇, 大場靖子, 佐々木道仁, 永田佳代子 吉松組子, 浅倉弘幸, 長島真美, 貞升健志, 吉村和久, 倉持仁, 関元昭, 藤木亮次, 金田篤志, 島田忠長, 中田孝明, 坂尾誠一郎, 鈴木拓児, 上野貴将, 高折晃史, 石井健, Gideon Schreiber, The Genotype to Phenotype Japan (G2P-Japan) Consortium, 澤洋文, 齊藤暁*, 入江崇*, 田中伸哉*, 松野啓太*, 福原崇介*, 池田輝政*, 佐藤佳*.
(#Equal contribution; *Corresponding author)
DOI: 10.1016/j.cell.2022.04.035
URL: https://www.cell.com/cell/fulltext/S0092-8674(22)00533-5

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【詳細】 プレスリリース(PDF521KB)

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